「引っ越しは大安で」と言われるたびに、思うこと
引っ越しの日取りを決めるとき、多くの方がカレンダーの大安を探します。契約日も、入居日も、できれば大安がいい。仏滅は避けたい。
この仕事を20年近くしてきて、このご希望は数えきれないほど伺ってきました。良い日に新しい暮らしを始めたい——その感覚は、とても自然なものだと思います。
ただ、そのたびに、私が心の中で思ってきたことがあります。大安を気にするのに、なぜ方位は気にしないのだろう、と。
大安は、今日の日本中の全員にとって大安
大安や仏滅は、カレンダーの上を順番に巡っている日柄です。今日が大安なら、日本中の誰にとっても、等しく大安。あなたにとっても、隣の家の人にとっても、同じです。
つまり大安には、「あなた」が入っていません。生まれも、今の運気のめぐりも、どちらへ動くのかも、関係がない。
方位は違います。九星気学では、生まれ年からその人の本命星を割り出し、その人が、いつ、どちらへ動くと良いのかを読みます。同じ日に、同じ町へ引っ越しても、ある人には最高の移動で、ある人には避けるべき移動になる。方位は、その人だけの暦です。
おみくじと、ひとつだけ違うところ
吉方位への引っ越しは、おみくじで言えば大吉です。
ただし、おみくじとは決定的に違うところが一つあります。引く前から、どこに大吉が入っているか分かっている。
おみくじは、引いてみるまで結果が分かりません。だから運試しです。吉方位はそうではない。生まれと暦から、この年に、この方角へ動けば大吉と、あらかじめ計算できる。箱の中のどれが大吉か、先に見えているようなものです。
しかも、大吉は一本ではありません。人によって、その年に吉となる方角はいくつかあります。行き先の候補を持ったまま、そのどれもが大吉と分かっている——おみくじでは、ありえないことです。
それなのに、引かない。私にはそれが、いちばんもったいないことに見えます。
基本は「年」。月と日は、その上に重ねるもの
日取りの決め方には、順番があります。
基本は、年です。その年、自分にとってどの方角が吉なのか。まずここで大きく決まります。方角によっては、今年は動かない方がいい、という年もあります。
その上で、月。年の吉方位の中でも、月ごとにさらに良い時期があります。年と月の吉が重なれば、なお良い。
そして日。ここまで整えたうえで、良い日を選べれば申し分ありません。大安を選びたければ、この段階で選べばいいのです。
年という土台があって、月、日と良いところを重ねていく。多くの方は、この順番が逆になっています。日だけを選んで、年と方角を見ていない。
「引っ越しの日」とは、何日のことか
もう一つ、大切なことを書いておきます。方位の基準になる日は、契約した日でも、荷物を運んだ日でもありません。
新しい家で、寝起きを始めた日です。
体がその場所へ移り、そこで眠り、朝を迎える。気学では、そこからが移動です。だから、荷物の搬入と住み始めの日をずらすことで、時期を整えられる場合があります。日取りの調整には、こうした余地が残されているのです。
大吉と分かっていて、引かない理由はない
大安を選ぶ感性は、正しいと思います。ただ、その手前に、もっと大きなものがある。
誰にとっても同じ大安ではなく、自分だけの方位と年。引く前から大吉と分かっている籤が、暦の中に何本も用意されています。
次の引っ越しでは、カレンダーの日柄より先に、ご自身の方位を確かめてみてください。そして日取りの相談は、物件を探し始める前が、いちばん効きます。いつ動けるかが分かってから、物件を探す。この順番だけで、引っ越しは変わります。